2016_02
11
(Thu)23:14

ヨイ豊


おもしろかったです。
黒船来航から12年、江戸の町で人気の浮世絵・歌川3代目の法要から
小説は始まる。
その歌川の伝統を守ろうとする娘婿の清太郎、誠実な人柄だが絵は真面目すぎて
おもしろみがない。
一方、性格は奔放だが、絵の才能は豊かな八十八、この二人の兄弟弟子の
それぞれの生き方、寄り添い方が素敵です。
浮世絵師は芸術家であり、職人です。
職人の世界の魅力と同じくらい魅力的なのがその背景、動乱の時代の勢い。
江戸が東京になる、武士がいなくなる、そんな変化の中を、浮世絵師たちや
彼らをとりまく商人、芸者、武士の子孫など、それぞれどう生きていくか、
幕末を今まで知って来た歴史とは変わった視点からみつめるのも、わくわくします。

 浮世絵の中でも役者絵というのがあり、
芝居小屋へ客を呼ぶ、宝塚で言えばポートレート・舞台写真になるのでしょうか、
人気役者をモデルにした絵は売れるのです。
文中、ある有名な役者の言葉で、
「因果な商売さ。だってさ、芝居も錦絵も、突き詰めれば、この世にあっても
なくてもいいもの。けど、お偉いお方は、そうした要らないもののほうが
人をひきつけるのが、わかっちゃいないのさ。
たった一瞬でもね、芝居小屋という限られた中で、憂いの世を、面白おかしい
浮世に変える。それが私たち役者の矜持・・・

  ここの文章が好きです。

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